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食べ物をのどに詰まらせたとき|声が出ない・苦しそうなときの対応と、取れたあとに受診したい様子
子どもののどに物が詰まり、声が出せない、呼吸が苦しそうといったときは、119番への通報と応急手当が必要です。年齢や意識の状態に応じた対応、異物が取れた後の受診、日頃の食事で気をつけたいことを一次資料に沿って整理します。
SECTION 01
声・呼吸・反応を確かめ、窒息が疑われるときは119番
食べ物を口にした直後などに、声が出ない、息ができない、顔色が青白いといった様子があれば、窒息が疑われます。すぐに119番へ通報し、周囲に人がいれば通報を頼んで、異物を取り除くための応急手当を始めてください。医院の予約や相談電話につながるのを待つ場面ではありません。
最初に見るのは、子どもが声を出せるか、呼吸しているか、呼びかけに反応するかです。咳ができている状態と、声も咳も出せず息ができない状態を一緒に考えないようにします。「むせているから、そのうち落ち着くだろう」と決めつけず、目の前の呼吸と反応を確かめ、通報先へそのまま伝えてください。
その場にいる人へ、してほしいことを伝える
家族などがそばにいるときは、「119番に電話して」と具体的に頼みます。通報では、子どもの喉に物が詰まったこと、年齢、声や呼吸、反応の様子を伝え、指令員の問いかけと指示に従ってください。異物が何か分からないときも、調べ終わるまで通報を待つ必要はありません。分かることと分からないことを分けて話します。
この記事を読み終えたり、応急手当の説明をすべて覚え直したりしてから動く必要はありません。実際に窒息が疑われる状況では119番と応急手当を優先してください。以下の説明は、年齢による手当の違いや、事故の後に医療者へ伝える内容を、日頃から確認するためのものです。
SECTION 02
年齢に合った応急手当を行う
喉に物を詰まらせたときの手当は、子どもの年齢によって異なります。こども家庭庁の案内では、1歳以上の子どもには背部叩打法を行い、異物が取れないときに腹部突き上げ法を行います。1歳未満の乳児には、背部叩打法と胸部突き上げ法を5回ずつ交互に行うとされています。乳児に腹部突き上げ法を当てはめないようにしてください。
背部叩打法、腹部突き上げ法、胸部突き上げ法は、名前が似ていても同じ動作ではありません。手を当てる位置や子どもの支え方を、言葉の印象だけで補わないことが大切です。実際の緊急時は119番の指示に従い、日頃の確認では、こども家庭庁の応急手当の案内と図で体位や手の位置まで確かめておきましょう。
乳児と年長の子どもの説明を混ぜない
きょうだいがいる家庭では、上の子に行う手当を、そのまま下の子にも行えると思い込まないようにします。家族で確認するときも、「喉に物が詰まったら背中をたたく」という一言だけで終えず、乳児か、1歳以上かで方法が違うことを共有してください。預け先の家族と話す際にも、年齢を含めて確認すると説明が食い違いにくくなります。
また、反応がなくなった場合は、この異物除去の手当だけを続ける場面ではなく、心肺蘇生へ移ります。子どもの状態の変化を通報先に伝え、指示を受けてください。手当の途中でも、何が取れたかだけに注意を向けず、反応や呼吸がどうなっているかを見失わないことが大切です。
家に保管している応急手当の資料がある場合は、どの年齢への説明か、いつの資料かも見ておきましょう。乳児への手当の図と、年長の子どもへの手当の図を、同じ場面の続きとして読み合わせないようにします。このページではこども家庭庁の案内に沿って年齢を分けています。緊急時に複数の資料を行き来して判断するのではなく、電話で今の状態を伝えてください。
SECTION 03
見えない異物を指で探らない
「口の奥に何かあるはず」と思っても、見えない異物をやみくもに指で探らないでください。日本医師会の案内でも、心肺蘇生中に口の中に異物が見えたときの除去と、見えない物を指で探すことは区別されています。目に見えない場所へ指を入れて探し続けることを、異物除去の方法にしないようにします。
ここで気をつけたいのは、「指で探らない」を「見えている異物も一切取り除いてはいけない」と読み替えないことです。心肺蘇生の途中で異物が見えた場合には、それを取り除きます。ただし、異物を探すために胸骨圧迫を中断しないとされています。実際にどう対応するか迷うときは、通報先へ状況を伝えて指示を受けてください。
慌てていると、食べていた物の形を思い出し、「この大きさなら指で取れるかもしれない」と考えてしまうことがあります。しかし、食卓に残っている物と、実際に口の中で見えている物は別です。見えたかどうかを曖昧にせず、見えていないなら見えていないと伝えましょう。
家族で応急手当を確認する際には、通報、年齢に合った異物除去、反応がなくなったときの心肺蘇生を続けて考えておくと、口の中を探すことだけに集中しにくくなります。手順の一部分だけを聞き覚えで行うのではなく、公式の説明で、それぞれの手当を行う状況も含めて確かめてください。
SECTION 04
反応がなくなったときは心肺蘇生へ
異物を取り除こうとしている途中でも、子どもの反応がなくなった場合は心肺蘇生へ移ります。異物が出てくるまで同じ手当を続けるのではなく、反応がなくなったことを119番の通報先に伝えてください。電話をハンズフリーにして、指示を聞きながら対応します。
通報を別の人に頼んでいる場合も、子どもの状態が変わったことが電話の相手へ伝わるようにします。手当をする人だけが変化に気づき、通報している人が最初の状態のまま説明し続けてしまわないよう、「反応がなくなった」とはっきり声に出してください。周囲の人との情報の共有も、指示を受けながら動くために大切です。
心肺蘇生について、この記事から新しい回数や待つ時間を決めることはできません。緊急時には119番の指示に従い、日頃は公式の応急手当の資料で具体的な方法を確認しておきます。年齢に合った手当の図と一緒に、「反応がなくなったときは心肺蘇生へ」という切り替わりも見ておいてください。
事故が起きてからは、記事を探し直したり、別の説明と読み比べたりするより、通報先の指示を受けながら対応することを優先します。家族で事前に確認する場合は、119番を頼む言葉、子どもの年齢、反応や呼吸を伝えることまで声に出して話しておくと、誰が何を伝えるかを考える助けになります。
SECTION 05
取れたように見えても、行った手当と症状を伝える
異物が口から出てきたり、子どもが声を出したりすると、保護者もほっとすると思います。それでも、何が起き、どのような手当をしたかは医療者へ伝えてください。取れたように見えたことだけで、異物が残っていないことや、体に影響がないことまで判断することはできません。
特に、腹部突き上げ法を行った場合は、内臓を傷めている可能性があるため、その事実を救急隊へ伝えるか、速やかに医師の診察を受けてください。これは「痛がっているときだけ」「呼吸が苦しそうなときだけ」という条件ではありません。異物が取れた後で元気に見えても、腹部突き上げ法を行ったことを省かずに伝えます。
説明する内容を、事故の流れに沿って整理する
医療者には、何を食べていたか、どのような声や呼吸だったか、どの手当を行ったか、何が出てきたか、その後どう変わったかを、分かる範囲で話します。呼吸の苦しさや声のかすれなどがあれば、それも伝えてください。「詰まったけれど取れました」という一言だけより、判断に必要な状況を共有しやすくなります。
実際に見ていない場面があれば、その部分を推測で埋める必要はありません。園や家族から聞いたことと、自分が見たことを分けて説明します。緊急時の通報や手当を遅らせて記録する必要はありませんが、対応が引き継がれる際には、行った手当と子どもの変化が伝わっているかを確かめてください。
たとえば、家族が手当を行い、別の保護者が医療者へ説明する場合、「背中への手当だけだったのか、腹部突き上げ法も行ったのか」が途中で抜けないようにします。「詳しいことは分からない」ときは、そのまま伝えて構いません。安心したい気持ちから出来事を短くまとめすぎず、手当をした人が見ていた内容を引き継ぐことを意識してください。
SECTION 06
食べ物の形と食べる場面を見直す
事故の予防では、食材を小さくすることだけでなく、その年齢で使用を避ける食材かどうかも確認します。こども家庭庁は、0歳から5歳までの子どもには、乾いたナッツ・豆類、もち・白玉団子などの粘りが強く飲み込みにくい食材、いか・こんにゃくなどの弾力があり噛み切りにくい食材の使用を避けるよう案内しています。
一方、ミニトマトやぶどうなど、球形や大きさによって気道に詰まりやすい食材については、4等分して形や大きさを変え、皮を取り除くなどの工夫が示されています。「使用を避ける食材」と「形や大きさを変える工夫が必要な食材」を同じ扱いにしないでください。豆類も切ればよい、どんな食べ物も刻めば安全、と考えることはできません。
食べる場面にも目を向けます。口に食べ物を入れたまま遊ぶ、話す、寝転ぶことをさせないようにします。食事の途中で遊び始めることがあるなら、食材を準備する人だけでなく、一緒に過ごす家族とも食べ方について共有しておきましょう。いつも食べている物かどうかだけで、食事中の様子を見過ごさないようにしてください。
家庭での見直しは、子どもを叱るためのものではありません。買う物、調理する人、食卓へ出す人、子どもと一緒に食べる人で、気をつける点を共有するために行います。祖父母の家などで食事をする場合も、避ける食材と形を変える食材を具体的に話しておくと、「子ども用に小さくした」という言葉だけでは伝わらない違いを確認できます。
献立を考える際は、「この食材は出してよいか」「出す場合はどのような形にするか」「どんな姿勢や場面で食べているか」を別々に確かめます。切り方だけを変更しても、食べ物を口に入れたまま遊ぶ場面が続いていれば、食事の様子も見直す必要があります。公式資料の食材例を家族で見ながら、いつもの食卓に当てはめて考えてみてください。
SECTION 07
夜間の相談先を確認しておく
熊本県子ども医療電話相談の#8000では、夜間などの子どもの急な病気やけがへの対処、応急処置について、看護師に相談できます。相談先を知っておくことは役立ちますが、窒息が疑われ、声が出ない、息ができないときの119番通報の代わりにはなりません。緊急の場面と、対応に迷って相談する場面を分けておきましょう。
熊本市の公式案内では、相談の受付時間は曜日によって異なります。平日は午後7時から翌朝8時、土曜日は午後3時から翌朝8時、日曜・祝日は午前8時から翌朝8時です。毎日終日つながる窓口と覚えるのではなく、利用する際は公式案内で受付時間を確認してください。
普段から家族と話しておきたいのは、相談先の番号だけではなく、何を伝えるかです。子どもの年齢、今見えている症状、始まったときの状況、すでに行った手当を伝えられるようにします。預け先で起きたことであれば、見ていた人から分かる範囲で状況を聞き、自分で見たことと区別して話してください。
窒息への備えは、食材や食べ方の見直し、年齢に合った応急手当の確認、緊急時の通報先を共有することがつながって初めて役立ちます。日頃の育児や食べ方についての心配は、かかりつけ医への相談も利用できます。ただし、今まさに呼吸できない、反応がないといった状況では、医院の診療開始や相談電話を待たず、119番の指示に従って対応してください。
FAQ
よくある質問
Q喉に物が詰まったようですが、医院へ電話してから動けばよいですか?
声が出ない、息ができないなど窒息が疑われる場合は、すぐに119番へ通報し、年齢に合った応急手当を行います。医院の予約や#8000への相談を先に済ませる必要はありません。反応がなくなった場合は、通報先へ伝えて心肺蘇生へ移ってください。
Q口の中に指を入れて探してもよいですか?
見えない異物をやみくもに指で探らないでください。心肺蘇生中に見えた異物を取り除くこととは区別します。また、異物を探すために胸骨圧迫を中断しないとされています。実際の対応は119番の指示に従ってください。
Q腹部突き上げ法で取れた後、元気ならそのままでよいですか?
腹部突き上げ法は内臓を傷める可能性があるため、行ったことを救急隊へ伝えるか、速やかに医師の診察を受けてください。症状がある場合だけに限りません。異物が取れたように見えたことに加え、行った手当とその後の様子を伝えます。
Qぶどうや豆は、どちらも小さく切れば食べられますか?
同じ扱いにはできません。こども家庭庁は、0歳から5歳までの子どもには乾いたナッツ・豆類などの使用を避けるよう案内しています。ぶどうなど球形の食材は4等分して形や大きさを変え、皮を除くなどの工夫が必要ですが、切れば窒息しないと保証されるものではありません。
運営者
たかしまこどもクリニック






