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虫垂炎(盲腸)|おへそのまわりから右下へ移る腹痛で、様子を見ずに受診したいサイン
おへそのまわりを痛がっていた子が右下腹部を押さえる、歩くと痛がる。腹痛の場所や様子が変わるときは、虫垂炎も含めて診察が必要です。家庭で病名を決めるのではなく、受診を急ぎたいサインと、受診先に伝える経過を確認しましょう。
SECTION 01
おなかの痛みが、だんだん右の下へ移っていくとき
「おなかが痛い」と言っていた子が、しばらくすると右の下の方を気にするようになった。歩くのを嫌がったり、体を動かすと痛そうにしたりする。そんなときは、いつもの腹痛と同じだろうと決めず、受診を考えてください。たかしまこどもクリニックの虫垂炎の案内でも、おへそ周りから右下腹部へ移る痛みを受診の目安に挙げています。
虫垂炎は、盲腸の先にある細い管に炎症が起きる病気です。家庭では「盲腸」と呼ぶこともありますが、おなかの痛む場所だけで虫垂炎かどうかを判断することはできません。大切なのは病名を当てることより、痛みが続いている、強くなっているといった変化を、医療機関へつなぐことです。
最初に痛がった場所と、今の場所を分けて伝える
「おなかのどこかが痛い」から「右下が痛い」へ変わったなら、その順番を伝えます。最初から右下だったのか、途中で場所が変わったのかは、同じ説明ではありません。子どもが指した場所や、自分から話した言葉を覚えている範囲で残してください。場所を確かめるために何度もおなかを押したり、無理に歩かせたりする必要はありません。
痛がり始めた時刻を正確に覚えていなければ、「夕食を食べる前から」「帰宅したときには痛がっていた」といった伝え方でもかまいません。詳しい記録を作り終えるまで受診を待つのではなく、いまの状態と、それまでに分かっている変化を伝えましょう。
SECTION 02
子どもの腹痛で虫垂炎を見逃したくない理由
同クリニックは、子どもが症状を言葉にしにくいことから、虫垂炎の診断が遅れる場合があると説明しています。また、放置すると虫垂が破れて腹膜炎へ進む危険があるため、腹痛が続くときは早めの受診を勧めています。少し我慢できているように見えても、痛みが続くことを軽く扱わないでください。
ただし、腹痛があればすべて虫垂炎ということではありません。保護者が「虫垂炎ではないか」と考えていても、受診先では症状や経過、診察所見をもとに確認します。別の病気だと決めて様子を見続けることも、虫垂炎だと決めつけて自分で対処を始めることも避け、診察につなげることが大切です。
一度おさまってからの変化も伝える
痛みの経過は、今の強さだけでなく、途中でどう変わったかも含みます。同クリニックは、一度おさまった腹痛が再び強くなる場合にも、すぐ受診するよう案内しています。いったん痛みを訴えなくなったという情報だけで、その後の変化を見落とさないようにしましょう。
家族でお世話を交代したときは、「さっきは痛くないと言っていた」という話と、その後の子どもの様子を分けて受け取ってください。今また強く痛がっているなら、以前おさまったことを理由に待たず、受診先にそのまま伝えます。家庭でおさまった理由や再び痛くなった理由を説明できなくても、経過は相談できます。
SECTION 03
小さな子は痛む場所を言葉で伝えにくい
小さな子に「どこが、どんなふうに痛いの」と尋ねても、うまく答えられないことがあります。おなか全体を指す、泣くばかりで説明できない、答えがそのたびに違う。そうした場合も、説明がそろうまで待つ必要はありません。子どもの言葉に、保護者が普段との違いとして気づいたことを添えましょう。
いつもの行動から分かる様子を言葉にする
たとえば、いつもなら自分から歩くのに今日は動きたがらない、食事に手をつけない、家族がおなかに触れようとすると嫌がる、といった様子です。「機嫌が悪い」という一言にまとめず、何をしているときに、どんな反応があったかを伝えられると具体的になります。こうした様子だけで診断するのではなく、診察の材料として話してください。
食欲についても、いつもより少なかったのか、食べようとしなかったのか、食べた後に吐いたのかを分けて考えられます。発熱や嘔吐があれば、そのことも伝えましょう。分からないことまで確認しようとして、食べさせたり歩かせたりする必要はありません。日常の中で見た範囲を伝えればかまいません。
本人が話せる場合は、「おへその近く」「右の下」など、自分の言葉をまず聞いてください。大人の予想に合う答えを求めるより、本人が言ったことと保護者が見たことを区別して残すほうが、受診先へ伝えやすくなります。「右下だと思うが、本人ははっきり答えられない」という説明でも、そのまま相談できます。
SECTION 04
様子を見ずに受診したいサイン
強くなる痛みや、歩くと増す痛みは早めに受診
たかしまこどもクリニックは、右下腹部の痛みが強くなる場合や、歩くと痛みが増す場合を、すぐ受診したいサインに挙げています。痛みの場所が変わってきた、さっきよりつらそうだと感じるときは、「もう少し様子を見てから」と受診を先延ばしにしないでください。
発熱や嘔吐、食欲不振を伴う腹痛、おなかに触れられるのを嫌がる様子、おなかがかたい場合も同医院の受診案内に含まれています。サインを全部そろえてから連絡するという意味ではありません。気になった変化を受診先に伝え、そのときの状態に応じた案内を受けましょう。
家庭でサインを再現して確かめない
歩くと痛むか確かめるために何度も歩かせたり、おなかのかたさを調べようとして繰り返し押したりしないでください。すでに見られた様子や、本人が訴えたことを話します。保護者が確認できなかった点は、分からないと伝えてかまいません。診察前に家庭で検査を終える必要はありません。
また、呼吸が苦しそう、唇の色が紫色、呼びかけへの反応がおかしいなど、子ども全体に緊急性の高い変化があるときは、腹痛の場所の記録より救急要請を優先します。厚生労働省の救急車の案内に沿い、119番へ連絡してください。医院の受付開始を待つことと、緊急時の対応は分けて考えます。
SECTION 05
受診するまでに家で気をつけること
受診までの家庭での役割は、痛みの原因を治そうとすることではなく、子どもを見守り、診察につながる情報を伝えることです。出かける準備をしながら、痛みが始まったころのことや、吐いたかどうかなどを、分かる範囲で整理しましょう。記録や持ち物の準備に時間をかけて、相談を遅らせないでください。
薬を使う前には受診先へ確認を
たかしまこどもクリニックの案内では、診断前に痛み止めを使うと症状が分かりにくくなるため、使用を控えるよう説明しています。家庭の判断で薬を追加する前に受診先へ確認してください。すでに使った場合は、薬の名前や使った時刻を隠さず伝えましょう。薬を使ってしまったことを理由に、受診をためらう必要はありません。
食事や水分についても、受診先の案内を確認してください。同クリニックは受診までの飲食を控えめにすることを挙げていますが、この記事で家庭の判断による一律の飲食制限を決めるものではありません。今どれくらい飲食できているか、最後に食べたり飲んだりしたのはいつかを伝え、お子さまの状態に応じた指示を受けます。
メモは短く、経過が伝わるものに
書き留めたいのは、腹痛が始まったころ、最初に痛がった場所、今痛がっている場所、強さの変化です。加えて、発熱、嘔吐、下痢の有無、最後に食事をした時刻、薬を使ったかどうかも、分かる範囲でまとめます。長い文章ではなく、「帰宅時はおへそ周り、食事前から右下」のような短いメモでかまいません。
複数の家族が見ていた場合は、記憶を一つにまとめ直すより、誰がどの時点で何を見たかを分けて伝えます。時刻があやふやならその旨も添えてください。正確そうに見せるために空欄を推測で埋めず、受診時に質問されたことへ答える材料として使いましょう。
SECTION 06
夜間や休日に迷ったとき
夜間や休日に腹痛が続くと、どこへ連絡するかで迷うことがあります。受診を急ぎたいサインがあるときは、通常の診療時間まで待つことを前提にせず、そのとき利用できる医療機関へつなげてください。かかりつけ医院の通常の受付案内と、夜間・休日の受診先は同じとは限りません。
迷うときは、子ども医療電話相談へ
厚生労働省は、休日・夜間に子どもの症状への対処や受診判断に迷った場合、子ども医療電話相談の♯8000を案内しています。小児科医師や看護師に症状を相談し、対処や受診する病院などの助言を受けられる仕組みです。診断を家庭で決めてからかける番号ではありません。いま見えている子どもの様子を伝えられます。
電話では、子どもの年齢と、腹痛がいつ始まり、どう変わったかを話してください。「右下を痛がるようになった」「歩くのを嫌がる」「吐いた」といった情報を、先にまとめたメモで確かめられます。相談中に分からないことを聞かれた場合は、分からないと伝え、何を確認すればよいかを尋ねましょう。
ただし、明らかに呼吸や意識の異常があるときなど、緊急性が高い状態では、相談電話につながるのを待つより119番への連絡を優先します。相談先の役割を分けておくことが大切です。「腹痛の相談だから必ず電話相談から」と順番を固定せず、子どものそのときの状態に応じて行動してください。
SECTION 07
腹痛が続くときは早めに医院へ
腹痛が続くときや、痛みの場所・強さが変わるときは、家庭で見守り続けるだけにせず、早めに医院へ相談してください。元気なときと比べた食欲や動き方、熱や嘔吐の有無も、受診時の大切な情報です。痛む場所をはっきり説明できなくても、保護者が気づいた変化から話し始められます。
たかしまこどもクリニックは、腹部の診察や必要な検査を通して虫垂炎の有無を確認し、疑われる場合には手術や入院治療ができる医療機関へ紹介すると案内しています。受診した医院でそのまますべての治療を行うとは限らず、必要な医療につながるための診察です。家庭で検査や治療の方法を先に決めておく必要はありません。
受診先では、いまの様子から話す
メモを最初から読み上げるより、「今は右下を痛がって歩きたがりません」と現在の状態を伝え、その後に痛みが始まったころからの経過を話すと整理できます。すでに別の医療機関へ相談したり薬を使ったりしている場合も、そのことを伝えてください。
受診後に家庭で見守るよう説明された場合は、どのような変化があれば再度相談するか、夜間はどこへ連絡するかを確認しましょう。この記事の一般的な説明だけで、診察後の個別の案内を置き換えるものではありません。心配な変化が生じたときは、以前の診察を理由に待ち続けず、受診先へ状況を伝えてください。
FAQ
よくある質問
Q.右下腹部が痛いと言わなければ、虫垂炎の心配はありませんか。
痛む場所の説明だけで、家庭で虫垂炎の有無を判断することはできません。小さな子は場所をうまく話せないこともあります。腹痛が続く、痛みが強くなる、食欲がなく吐くといった変化があるときは、その様子を医療機関へ伝えてください。
Q.いったん痛みがおさまったら、そのまま待ってよいですか。
一度おさまった後に、再び強くなる腹痛も医院が受診を勧めているサインです。「さっきは平気だった」ということだけで、その後の変化を軽く扱わないでください。おさまった時期と、再び痛がり始めた経過を受診先へ伝えましょう。
Q.家でおなかを押したり、歩かせたりして確かめる必要はありますか。
保護者がサインを再現するために、繰り返しおなかを押したり、無理に歩かせたりする必要はありません。日常の中で見た動き方や、本人が訴えた痛みをそのまま話せます。分からない点は分からないと伝え、診察で確認してもらいましょう。
Q.痛み止めをすでに使ってしまった場合は、どう伝えますか。
薬の名前、使った時刻、使った後の様子を、分かる範囲で伝えてください。使用したことを隠したり、それを理由に受診を遅らせたりしないでかまいません。家庭の判断でさらに追加する前には、受診先の案内を確認しましょう。
Q.夜間、受診するか迷うときはどこへ相談しますか。
休日・夜間の子どもの症状への対処や受診判断に迷うときは、♯8000で小児科医師や看護師に相談できます。明らかな呼吸や意識の異常など、緊急性が高い状態では119番へ連絡し、通常の受付や相談電話を待つことを優先しないでください。
運営者
たかしまこどもクリニック






